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2019.10.10
メールマガジンコラム

vol.6 第3回(全3回)運動を企業が取り入れることの意義 〜アクティブレスト®のエビデンス〜

vol.6 第3回(全3回)運動を企業が取り入れることの意義 〜アクティブレスト®のエビデンス〜

労働者の休み時間の過ごし方として,職場のパソコンやスマートフォンでゲームやメールをする労働者が多数見受けられます。近年,「アクティブレスト®」,つまり休み時間に積極的に運動を取り入れた方が疲労回復につながり,作業効率が改善するという概念が提唱されています。私たちはこれまでに,アクティブレスト®の考えのもと,メタボリックシンドロームやロコモティブシンドロームの予防,運動実践のきっかけづくりを目的とした10分間でできる運動プログラムを企業に対して提案してきました。そこで,最終回では私たちがこれまでに企業で取り組んできた「アクティブレスト®」の概要とその効果について紹介します。

<正興電機製作所古賀事業所での取り組み>

 ホワイトカラーならびにブルーカラーの労働者130名を対象に,職場単位で無作為に運動介入を行う群と介入しない群に割り付けました。運動介入は週に3〜4回,昼休みに10分間の体操を職場単位でインストラクターの指導のもと実施し,介入期間は8週間としました。両群ともに介入前後に職場活性度(ワーク・エンゲイジメント),プレゼンティーズム(WFun)に関する調査を実施しました。8週後,ワーク・エンゲイジメントの「活力」,WFunは運動介入群で有意に改善し,WFunの改善は身体愁訴や疲労感の軽減,活力の向上と関連していました[1]。

  • プレゼンティーズム:出勤はしているが慢性疾患により生産性が低下した状態。

<西日本高速道路株式会社での取り組み>

ホワイトカラーの労働者30名を対象に,職場単位で無作為に運動介入を行う群と介入しない群に割り付けました。運動介入は週に3回,昼休みに10分間の体操を職場単位でDVDを見ながら実施し,介入期間は10週間としました。両群ともに介入前後に睡眠状態(ピッツバーグ睡眠質問票),プレゼンティーズム(WFun)に関する調査を実施しました。10週後,WFun,入眠潜時,睡眠の質,睡眠障害は運動介入群で有意に改善し,WFunの改善は睡眠の質の改善と関連していました。

<第一交通産業株式会社での取り組み>

 慢性腰痛を有する男性タクシー運転手32名を対象に,事業所単位で運動介入を行う群と介入しない群に割り付けました。運動介入は10分間の体操を出勤日の就業前後または休み時間に対象者の実施可能な時間にDVDを見ながら行い,介入期間は10週間としました。両群ともに介入前後に運動機能測定(脚筋力[30秒椅子立ち上がりテスト],バランス能力[閉眼片脚立ち],柔軟性[長座体前屈]),腰下肢症状の程度(VAS),腰痛の重症度(JOA-BPEQスコア)に関する調査を実施しました。10週後,脚筋力,柔軟性,腰痛の程度は運動介入群で有意に改善し,運動参加回数が多かったものほど柔軟性の改善が大きいことが示されました。

これらの結果より,ホワイトカラーならびにブルーカラーの労働者が昼休みに職場単位で運動を行うことは,職場活性度の向上,プレゼンティーズムや睡眠の質の改善,慢性腰痛を有するタクシー運転手の腰痛軽減に有効であることが明らかとなりました。アクティブレスト®の効果の差異には,対象者特性や職種,運動介入方法などの要因が影響していると考えられるため,今後,さらに他職種による検討や介入方法の工夫が必要かもしれません。

福岡大学スポーツ科学部

運動生理学研究室

道下竜馬

<出典>

[1]Michishita R, et al. J Occup Environ Med 2017; 59: 1140-1147.

2019.8.10
メールマガジンコラム

vol.6 第2回(全3回)運動を企業が取り入れることの意義 〜職域における運動介入研究〜

vol.6 第2回(全3回)運動を企業が取り入れることの意義 〜職域における運動介入研究〜

近年,企業が従業員の健康に配慮することによって,経営面においても大きな成果が期待できるとの基盤に立ち,健康管理を経営的視点から考えて戦略的に実践する「健康経営」の概念が普及しています。従業員の健康管理・健康づくりの推進は,単に医療費の節減のみならず,生産性や従業員の創造性,企業イメージの向上等の効果が得られ,かつ企業におけるリスクマネジメントとしても重要であることから,多くの企業で運動や食事指導,メンタルヘルス不調,喫煙対策など,労働者の健康づくりに対する様々な取り組みが実践されています。運動に関する主な取り組みとして,2019年度に健康経営銘柄を取得した企業のうち,塩野義製薬株式会社では約4,000名以上の従業員が参加するウォーキングイベントを開催するとともに,スニーカー通勤の推奨を行い,歩くことの習慣化とさらなる健康保持増進を図っています。花王株式会社では,社員食堂での「スマート和食®」の提供,歩数計「ホコタッチ」による歩行推奨,「内臓脂肪測定会」による健康増進プログラムなど,楽しみながら健康になる取り組みを導入しています。JFEホールディングス株式会社では,自社考案の「アクティブ体操」を健康管理に活用し,体操の実践により筋骨格系疾患による休業や転倒災害発生件数が減少するなどの効果が表れています[2]。

では,これまでに職域で行われた運動介入研究には,どのようなエビデンスがあるのでしょうか? 以下,職域で実践された運動介入研究の結果の一部を紹介します。

<ステップ運動を主体とした生活習慣修正によるメタボリックシンドロム改善効果>

福岡市役所で実施された研究では,男性職員79名を対象に無作為にステップ運動を主体とした生活習慣の修正を実施する群(介入群)と運動未実施群に分類し,8週前後に形態,血圧測定,血液生化学検査,運動負荷試験を実施しました。介入群にはステップ台を貸与し,1週あたり300分以上の運動を職場と自宅で実施してもらうように指導しました。8週間後,介入群で体重,腹囲,腹部脂肪面積,収縮期血圧,有酸素性作業能力の有意な改善が認められ,職域におけるステップ運動を主体とした生活習慣改善により労働者のメタボリックシンドロームの改善に有効であることが示されました[3]。

<座位行動パターン変容による血糖値改善効果>

 オーストラリアで行われた研究では,過体重または肥満の中年男性19名を対象に仕事中の座位行動パターンの変化が血糖値に及ぼす影響について検証しました。低強度の歩行や簡単な体操,中〜高強度のレジスタンス運動を実施して座位行動を中断させた結果,運動強度に関わらず頻繁に座位を中断し,座位行動パターンを変えることで約24%の血糖値の低下を認めました[4]。この研究の結果から,頻繁に座位行動を中断することは労働者の座り過ぎ防止につながるとともに,生活習慣病の予防や改善にも貢献できると考えられます。

 このように,近年の「健康経営」の制度が追い風となり,最近では職域における運動介入研究の報告も多くみられるようになってきました。そこで,次回は我々がこれまでに企業で取り組んできた「アクティブレスト®」の概要とその効果について紹介します。

福岡大学スポーツ科学部

運動生理学研究室

道下竜馬

<出典>

[1]健康経営研究会. 健康経営とは. http://kenkokeiei.jp/whats

[2]経済産業省. 健康経営銘柄選定企業レポート.

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/meigara_report2019.pdf

[3]綾部誠也ほか. 臨床スポーツ医学 2011; 28: 1387-1391.

[4]Dunstan DW, et al. Diabetes Care 2012; 35: 976-983.

2019.6.10
メールマガジンコラム

vol.6 第1回(全3回)運動を企業が取り入れることの意義 〜身体不活動の健康影響〜

vol.6 第1回(全3回)運動を企業が取り入れることの意義 〜身体不活動の健康影響〜

 近年,国民の健康への関心が高まり,テレビでは健康に関する番組を見ない日はありません。

 運動することが身体に良いことは誰もが知るところであり,近年のマラソンブームも加わり,
最近では街中にランニングやウォーキングで汗を流している人の姿を多く見かけるようになりました。

しかし,厚生労働書の「平成29年国民健康・栄養調査」[1]の報告では,我が国で運動習慣のある
成人の割合は男性で35.9%,女性で28.6%と過去10年間でわずかに増加傾向を示していますが,
勤労世代である30歳代では男性14.7%,女性14.3%と未だに低いのが現状です。

厚生労働省の健康づくりに関する意識調査の結果(厚生労働省「健康日本21(一次)」,1996年)
では,運動を実施していない者の主な理由として,「時間がないから」「仕事や家事で疲れているから」
という理由をあげており,勤労世代とくに仕事で身体活動量が少なく,
座位時間の長い労働者では運動習慣の獲得,とりわけ運動時間の確保や運動施設の提供など,
運動環境の整備は喫緊の課題であると考えられます。

 そこで,本コラムでは「運動を企業が取り入れることの意義」として,
身体的不活動の健康影響(第1回),②職域における運動介入研究(第2回),
③アクティブレストのエビデンス(第3回)について概説します。

 身体不活動の健康影響について初めて報告されたのは,1953年のMorrisらの疫学研究です[2]。
Morrisらは,ロンドンの2階建てバスの運転手と車掌を対象に心疾患の発症とその死亡率について検証し,
労働環境として身体的に活動的な車掌に比べて不活動な運転手は心疾患の発症ならびにその死亡率が高い
ことを報告し,同じ環境下で働いていても身体活動量の違いによって心疾患の発症やその死亡率が異なる
ことを明らかにしました。

以後,今日にいたるまで運動習慣や身体活動量,体力と死亡率,様々な疾患の発症との関係が報告
されるようになりました。

我が国の東京ガススタディ[3]では,男性労働者を対象に16年間追跡調査を行い,有酸素性作業能力(持久力)
の指標である最大酸素摂取量とガンによる死亡率との関係について検討し,ベースライン時の最大酸素摂取量
が低くなるにしたがい,ガンによる死亡率が高くなることを明らかにしました。

さらに,関西ヘルスケア研究[4]では,通勤で職場まで片道10分未満しか歩いていない労働者に比べて,
20分以上歩いている労働者では2型糖尿病の新規発症が約17%抑制されることも示しています。

一方,最近では身体活動量だけではなく,不活動時間とくに労働者の座り過ぎも問題視されています。
我が国のJPHC研究[5]では,第1次産業に従事する労働者を対象に平均10年間追跡し,仕事中の座位時間が
3時間以上の労働者は1時間未満の労働者に比べて総死亡のリスクが高いことを報告しています。

また,九州大学の研究グループ[6]は,メタボリックシンドロームのない労働者を3年間追跡し,仕事中に
30分以上の連続した座位時間が長いものほど,メタボリックシンドロームの新規発症が高いことを明らかにし,
最近では立ったままでの会議やスタンディングデスクを導入している企業も増えつつあります。

このように,有酸素性作業能力や身体活動量の低下,長時間座位は死亡率や様々な疾患の発症と関連する
ことから,身体活動量が少なく,座位時間の長い労働者では,運動習慣の獲得および仕事中や余暇時の
身体活動量の増加を目指すとともに,座位時間を減少させることで,健康寿命ならびに労働寿命延伸に
貢献できると考えられます。

福岡大学スポーツ科学部

運動生理学研究室

准教授 道下竜馬

2019.4.10
メールマガジンコラム

vol5.第3回(全3回)健康経営に取り組む意義 ~従業員の健康課題に合わせた健康経営の展開~

vol5.第3回(全3回)健康経営に取り組む意義 ~従業員の健康課題に合わせた健康経営の展開~

前回、それぞれの企業の健康課題について取組みを行うことが大切であると書きました。健康経営は、従業員の健康を根幹資源と捉えて、それに投資することによって経営上の成果を得ようとする取組みであるため、健康課題は従来の健康管理より幅広く捉えます。そして、が組織に存在する従業員の健康上の課題を認識して、課題に対応した施策を実施することになります。健康経営は、米国では“Health and Productivity”という概念で広がったもので、健康と生産性の関係に焦点を当てて、生産性の阻害要因になっている健康課題に対する企業の投資を促しました。生産性とは、従業員にとっても職業生活の充実と置き換えられますので、双方にとって利益がある概念です。

その際、生産性を低下させる健康上の課題には、在職中に死亡したり、早期退職や長期休職を余儀なくされる病気だけでなく、体調不良で病欠を取ったり、仕事に来ていても能率が上がらない場合も含めて、健康課題として捉えられるようになりました。一般に前者をアブセンティーズム、後者をプレゼンティーズムと呼びます。健康経営では、健康課題を解決するために、運動習慣や食生活の改善といった従業員の健康行動を促したり、健康行動を取りやすい環境を整備したりします。そのような健康行動が、長期休職にも、プレゼンティーイズムにも同じように効果があるのであれば、それぞれをあまり意識しなくてもいいのかもしれません。しかし実際には、プレゼンティーイズムの原因は、睡眠不足や不眠、肩こりや腰痛、眼の疲れといった症状が大きな要因となっていることが分かっていますので、これまでの健康管理に合わせて、これらの症状対策を行う必要が出てきます。

さらに、生産性低下による損失を防ぐだけでなく、生産性の向上といったプラス面についても健康経営では着目する必要があります。取組によって、従業員の活力、熱意、没頭で構成されるワークエンゲイジメントが向上すれば、企業の業績に直結することが期待されます。また、従業員個人へのアプローチだけでなく、意欲の高まる職場環境の形成や組織開発といった環境へのアプローチも、健康経営のプログラムの選択肢になります。

多くの企業に、健康経営宣言、体制づくり、一般健康診断を活用したハイリスクアプローチ、そして健康課題に合ったプログラムの提供という流れで、健康経営を進めていただきたいと思います。

・産業医科大学 産業生態科学研究所 産業保健経営学研究室 教授
・日本産業衛生学会 副理事長
・日本労働衛生安全衛生コンサルタント会 副会長
・次世代ヘルスケア産業協議会 健康投資WG主査
・健康経営度調査基準検討委員会 座長
・健康経営優良法人認定委員会 座長

森 晃爾(もり こうじ)

2019.2.10
メールマガジンコラム

vol5.第2回(全3回)健康経営に取り組む意義 ~健康経営で一番大切な、経営者のやる気~

vol5.第2回(全3回)健康経営に取り組む意義 ~健康経営で一番大切な、経営者のやる気~

従業員の健康が、企業の将来にとって大変重要であることを認識した経営者には、健康経営を推進していただきたいと思います。とはいっても、従業員が健康になるためには、従業員自身が健康的な行動を取る必要があるため、とても難しく感じてしまう方も少なくありません。人の健康は、周囲の環境に大きく左右されるため、企業できることはそのような環境づくりです。それなら、経営者の権限できるのではないでしょうか。

健康経営では、まず従業員の健康の重要性を認識して、健康づくりに積極的に取組むことを明示した健康方針や宣言を出していただくことから始まります。そのような宣言を出したのですから、時に触れて健康の重要性を説いていただきたですし、経営者ご本人にも自らの健康管理を従業員の見える形で行っていただきたいと思います。また、取締役会のような経営会議でも、企業の重要な資源である人材の健全性について話し合ってください。

あとは、PDCAを廻しながら健康プログラムを提供していただければ結構です。とはいっても、無数の健康プログラムがありますので、何が自社の課題にあっているかを考えながら実施していかなければなりません。一般的に、健康管理プログラムは、ハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチに分かれます。ハイリスクアプローチとは、病気になる可能性が高い対象を絞って、そこに働きかける取組みであり、日本では法令で一般健康診断やストレスチェックなどが行われています。一方、ポピュレーションアプローチとは、健康度に関わらず集団前提に働きかけて、集団の健全性を高める取組みです。皆で運動をしたり、より働きやすい職場環境の改善を図るような取組みがあります。どのような職場でも、まずはハイリスクアプローチが確実にできているかは確認してください。

一般健康診断の結果、治療や精密検査が必要であると指摘されているにもかかわらず、放置されていても、誰も何も言わないような状況はありませんか。一般健康診断が従業員にとっても法的に義務となっている背景には、従業員自身が「働けるだけ十分健康である」ことを示すことを求めているのです。少なくとも全員が健康診断を受け、必要があれば治療や精密検査を受けている状態を確実にした上で、それぞれの会社や職場で課題と思われることに対する対策を実施すればいいのでしょう。大きな企業であれば課題を抽出するためにデータ分析が必要ですが、小さな企業の場合には経営者や担当者が感じている課題そのものへの対策で十分だと思います。若い人が朝ごはんを食べない、運動不足の人が多い、喫煙者が多いなどです。その対策として、職場できる何かを行ってください。たとえば、早朝出勤者にパンやフルーツを用意する、始業時や昼休みに皆で体操する、敷地内禁煙するなどです。最初の取組みがうまくいった会社は、次々にプログラムが展開されていますので、まずは始めることが大切です。

・産業医科大学 産業生態科学研究所 産業保健経営学研究室 教授
・日本産業衛生学会 副理事長
・日本労働衛生安全衛生コンサルタント会 副会長
・次世代ヘルスケア産業協議会 健康投資WG主査
・健康経営度調査基準検討委員会 座長
・健康経営優良法人認定委員会 座長

森 晃爾(もり こうじ)

2018.12.10
メールマガジンコラム

vol.5第1回(全3回)健康経営に取り組む意義 ~現代の経営における従業員の健康の 価値を認識してほしい~

vol.5第1回(全3回)健康経営に取り組む意義 ~現代の経営における従業員の健康の 価値を認識してほしい~

私がお会いする経営者の中には、健康経営に高い価値を置く方とまったく響かない方がいます。両者は何が違うのでしょうか。

P.F.ドラッカーは、同氏の代表的書籍である「プロフェッショナルの条件」の中で、

「今や唯一の意味ある競争力要因は、知識労働の生産性である。その知識労働の生産性を左右するものが知識労働者である。

雇用主たる組織の盛衰を決めるものも、一人ひとりの知識労働者である」と述べています。

この知識労働者が、生産性を発揮できるためにはどのような条件が必要でしょうか。

私の友人であるジャン・ドゥーソップは、著書「産業保健マーケティング」の中で、

企業にとっての人という資源を内部資源(才能や適性)と外部資源(資格や人脈)に加え、

根幹資源の3つに分けた上で、内部資源と外部資源がうまく活用できるのは、

その人が健康であることが必要条件となるため、健康を根幹資源として位置づけました。

メンタルヘルス不調が生じれば、いくら豊かな内部資源と外部資源を持っていても、

まったく成果を出せなくなることからしても、根幹資源の重要性は自明です。

このような根幹資源は、当たり前の者として存在するのか、企業として資源管理の

対象とすべきなのか、それこそ健康経営の推進において検討すべき背景となります。

そして、資源管理の対象とすべきであれば、これまで教育・研修の方法で内部資源に

投資を行ってきた企業は、併せて根幹資源への投資を行う必要があり、それが健康投資なのです。

ただ、健康が重要であるということはこれまでも同じであったはずです。

ここに来て健康経営が一つのトレンドとなっていることには、大きな背景があります。

それは、少子高齢化に伴う生産年齢人口の急激な減少です。

今後は雇用期間が延長され、まずは70歳まで雇用することが前提の時代になります。

また、これまでは従業員が病気になっても、すぐに代わりになる人材が豊富にいましたが、

これからはそうはいきません。さらに、変化が極めて激しい時代において、その変化に

耐えうるだけの高い心の健康状態も求められます。そして、従業員の健康にまで配慮して

くれるようなホワイト企業で若い人は働きたいと考えています。そのような時代だからこそ、

従業員の健康への投資は、企業経営にとって重要なのであり、そのことに気付いている経営者は、

健康経営に高い価値を置いているのです。私には、後者の経営者が運営する企業の行く末が心配でなりません。

・産業医科大学 産業生態科学研究所 産業保健経営学研究室 教授
・日本産業衛生学会 副理事長
・日本労働衛生安全衛生コンサルタント会 副会長
・次世代ヘルスケア産業協議会 健康投資WG主査
・健康経営度調査基準検討委員会 座長
・健康経営優良法人認定委員会 座長

森 晃爾(もり こうじ)

2018.10.10
メールマガジンコラム

vol.4第3回(全3回)第3回ホワイト500認証への道のり ~今後の健康経営推進に向けて(2018年~)~

vol.4第3回(全3回)第3回ホワイト500認証への道のり ~今後の健康経営推進に向けて(2018年~)~

株式会社正興電機製作所  取締役/正興ITソリューション株式会社 
代表取締役 有江 勝利氏

ホワイト500と呼ばれている健康経営優良法人(大規模法人部門)は、
経済産業省が優良な健康経営を実践している企業を認定する制度です。
2016年に創設されました。

日本の医療費はここ数年約1兆円ずつ増加しています。

この大きな要因である生活習慣病の予防には我々現役世代の生活習慣改善
が至上命題となっています。

健康社員育成を行う健康経営は医療費の適正化に繋がります。

企業にとっても生産性の向上や不健康損失の低減、さらには社会的評価を
得る等のメリットがあります。

このようなことから、健康経営推進企業を増加させていくことは国の
重要な施策にもなっています。

この健康経営優良法人制度は、経営幹部の本気度や推進体制、健康課題
と対応状況等々約100の項目での対応状況について審査されます。

当社の場合、
社員の健康活動をサポートするクラウドサービス「Health-Ledger」の活用、
歩数競争やアクティブレスト等による具体的な健康経営活動が評価され
認定して頂くことができたと思います。

しかしながらこれら活動はまだまだ満足できるものではありません。

2018年度に注力している活動内容は大きく3つあります。

二次健診やご家族健診の受診率向上、全社員禁煙に向けた運動、そして
各健康活動の参加率を高めていくことです。

その為の施策は健康経営プロジェクトで講じています。

活動への参加率が上がらないのは社員への告知が足りないからではないか?

いや、足りないのは告知ではない!論議が紛糾することも少なくありません。

2018年より本格的に始めた歩数競争は、全社員を5人1チームに編成した
チーム戦です。

これにより社員の活動量が大きく増加したことは前回にご報告した通りですが、

特にチーム内のコミュニケーション向上にも繋がってます。

また工場のある福岡県古賀市の複数の事業者と職場対抗歩数競争も行いました。

2か月間のイベントでしたが地域情報誌にも掲載され大変な盛り上がりでした。

ここでも産業医科大学様に運動前後のデータを収集頂きこれを分析、効果の
確認を行いました。

身体活動量の増加、体脂肪量の減少,除脂肪体重(主に筋肉)は有意に増加、

メンタルヘルスにも良好な効果を及ぼし,抑うつ・落ち込みの改善を認め,
活気・活力を向上させました。

終了後表彰式も行い、同じ地域で働く方々とのコミュニケーションも大いに
盛り上がりました。

今後も歩数競争やアクティブレストを継続し、さらに前述した3つのテーマ
に取り組む中で、健診データや企業活動にどういい影響を及ぼすのか、
有識者や保健師との協働でデータの確認も行っていきます。

継続は力です。
PDCAサイクルを繰返し、社員の健康と企業活動の洗練を継続的に改善
していきます。

2018.8.10
メールマガジンコラム

vol.4第2回(全3回)ホワイト500認証 への道のり~プラチナ大賞受賞、そしてホワイト 500認定(2015年~)~

vol.4第2回(全3回)ホワイト500認証 への道のり~プラチナ大賞受賞、そしてホワイト 500認定(2015年~)~

株式会社正興電機製作所  取締役・正興ITソリューション株式会社 代表取締役

有江 勝利氏

2015年より運用面を充実させていこうと、

健康経営推進のプロジェクトチームを発足させました。

健康文化をどう育んでいくのか、無関心な社員にどう意識付けをしていくのか、

定期的に集まり論議を行いますが、答えは簡単には出ません。

取組みを推進する中で価値を共にする仲間との出会いも生まれました。

その1つが10分ランチフィットネス協会の皆様です。

お昼休みのちょっとした運動が、健康社員育成にどう届いていくのか、

2015年7~12月(6か月間)社員約60名を対象に実証実験を行いました。

運動前後のデータ収集そして分析は産業医科大学様にご協力を仰ぎました。

その結果、身体活動量(歩数)は1日平均6,553 歩→9,345 歩に上昇。

期間後もこれを維持。さらに対人ストレス(5点評価)3,1→2.8へ減少、

職業性ストレス(活気)は3.0→3.4へ増加、といったデータを得ることができました。

体重や腹囲、血圧などへの改善までには至らなかったものの、

①活動時間が増加⇒健康への意識が高まり勤務中の階段使用等習慣改善に繋がったのではないか、

②昼休みの運動は対人関係やメンタルヘルスに良好な効果を及ぼしている、

以上2点確認することができました。

このお昼休みの運動につきましては、2016年には社内インストラクターを育成し、

2018年現在においても継続しています。参加者の固定化や職制での理解等課題もありますが。

2017年に入り全社員にウェアラブル活動量計(fitbit)を配布しました。毎日の運動量

(消費カロリーや歩数等)の見える化です。

そして全社員を5名のチームに分け、チーム戦での歩く競争「歩KING (あるきんぐ) 」も始めました。

この「歩KING」は社員の運動促進に大きく寄与しました。

想定外の副作用もいろいろと出ましたが、現在においても適宜に趣向を変えながらチーム戦

での歩く競争を運用しています。

社員の活動量は「歩KING」開始直後から現在において社員1人当たりの平均歩数も2,540歩上がってます。

運動促進を中心に効果を確認しながら健康経営活動を進める中で、

2016年には「第4回プラチナ大賞 イノベーション賞」を受賞、

2018年2月には「2018健康経営優良法人 ホワイト500」の認定を受けました。

これらに恥じないよう、一層に健康経営活動を深化させていかなければいけません。

2018.6.10
メールマガジンコラム

vol.4第1回(全3回)ホワイト500認証 への道のり~正興電機グループの健康経営立上げに向けて(2013年~)~

vol.4第1回(全3回)ホワイト500認証 への道のり~正興電機グループの健康経営立上げに向けて(2013年~)~

株式会社正興電機製作所  取締役・正興ITソリューション株式会社 代表取締役

有江 勝利氏

正興電機製作所の有江と申します。
当社グループの健康経営推進そしてヘルスケア事業を担当しています。

当社が健康経営に目覚めたのは2013年です。
三菱総研の小宮山理事長が提唱される「プラチナ社会構想」に共感したことから始まりました。

プラチナ社会づくりへの貢献、
つまり「地球環境問題を解決した元気な超高齢社会づくり」に貢献するということで、
当社が掲げているミッションです。

健康経営の実践を通して健康社員を育成し、元気な地域、元気な高齢社会に繋げていく、
この構図を描き実行に入ったのが2013年になります。
有識者(大学の健康疫学研究室)に教えを乞うところから活動に入りました。

現状を知るということで、最初に確認したのは当社社員の健康関連データの状況です。
保健師による、健診データそして健保組合レポートの
2008年→2012年(5年間)の経年変化の整理から始めました。

健診データからは、糖代謝(糖尿病指標)異常なし率88.3%→83.7%(4.6%悪化)、
BMI(肥満指標)23.1→23.5(0.4悪化)等、確実に健康障害へのリスクが高まってきており、
健保組合レポートからも通院回数や医療費も全体でみるとかなり上がっている状況です。

また、職種別にも顕著な特性も現れています。
夜遅い食事になることが多い設計や製造部門の社員は脂質(コレステロール)の有所見率が高いようです。
同様に、デスクワークが多い事務職では血圧が高く、飲酒の多い営業では肝機能や血糖が高いようです。

さらに、年齢別に見ますと健診全体の異常なし率、
20歳代では87.5% これが50歳代11.2%、60歳代2.5%(実に98%弱が異常あり)、
結局こういった傾向で会社卒業後地域に戻り職域健保から地域の国保に移った後、
問題が顕著になり国保の圧迫、医療費高騰に繋がっているわけです。

私達は、各社員自身の健康関連データを見える化しそして気付かせる化し、
生活習慣改善に向かわせるようツールの整備から着手しました。

・健診機関に協力を頂き、健診データの自動取込経年変化の見える化
・社食運営機関に協力頂き(社員カードで決済行う際同時に)摂取カロリーや塩分情報を記録、見える化
・社内に体重計や血圧計を設置し(社員カードかざして)今日の体重今日の血圧を記録、日々の変化の見える化

こういった自身の健康関連データの見える化から整備を行い、(本人同意に基づく)
その後生活習慣改善をサポートする機能、職制で保健(健康を保つ)情報交換や
保健師の非対面指導を行うことができるコミュニティを社内に展開しました。

サポートツールは充実してきましたが健康文化の育成が大変です。
実際にツールを利用して健康活動に取組みだしてくれた社員は1割程度の状況でした。

健康管理プロジェクトを2015年に発足しました。
組合、設計、営業、人事、IT部門からの選抜そして保健師による健康社員育成運用チームです。

2015年より、健康活動をどう盛り上げていくかへの取組みの苦心に入っていきます。

2018.4.10
メールマガジンコラム

vol.3第3回(全3回)「禁煙のすすめ」~加熱式たばこの健康影響~

vol.3第3回(全3回)「禁煙のすすめ」~加熱式たばこの健康影響~

産業医科大学 産業生態科学研究所 教授 大和 浩、講師 姜 英

加熱式タバコが大手タバコメーカーから販売され、家族から煙たがれている人
やタバコはやめられないが健康障害を少しでも減らしたい、という喫煙者に
爆発的に売れています。
その使用者が増えるにつれ、「あれって、どうなの?」と訊かれる機会が
増えてきました。

皆さんも、コンビニエンスストアの店頭に置いてあるリーフレットを持ち
帰って目を通してみて下さい。
メーカーが喫煙者の心理を上手く突いていることが分かります。

リーフレットの前半には、「室内の空気を汚さない」を強調するために、
家族が居るリビングで使用している写真が使われています。
しかし、これは明らかな虚偽広告です。
筆者のホームページに3種類の加熱式タバコを使用した時の室内空気の
汚染状況を二次元レーザー光線で可視化しています。
ぜひ、この動画を加熱式タバコの使用者に見せてあげて下さい。
リーフレットの後半は、わざわざ棒グラフを使いながら
「有害成分を90%低減」が強調しています。
それらの構造から、3種類の加熱式タバコの有害性について解説します。

2015年から販売が開始され、2018年4月時点で最も使用者が多いのは
フィリップモリス社のiQOS(アイコス)です(2017年3月にバージョン
アップでIQOSに名称変更)。
タバコの葉を粉末にして保湿剤、防腐剤、成形剤等を加えてシート状
に押し固め、約11ミリの幅に切りそろえて巻紙に充填し、その中央に
金属ブレードを挿入して内側から約300℃に加熱します。
ニコチンの沸点は247℃ですから喫煙者が満足する濃度のニコチンが
揮発します。
燃焼する温度(約500℃)以下であるため、確かにタールと一酸化炭素
の発生は抑えられます。
しかし、iQOSを使用する本人が肺に吸引する有害物質を分析した
国立保健医療科学院の研究班の論文により、濃度は低いものの発がん性
のあるアルデヒド類をはじめ、紙巻きタバコから発生する有害物質は
ほぼすべて含まれていることが分かりました
(Bekki K, et al. J UOEH. 39(3), 201-207, 2017)。

ブリティッシュ・アメリカン・タバコのglo(グロー)は、タバコの葉を
詰めた巻紙の外側から約240℃に加熱する構造が似ているので、
アルデヒド類などの発がん性物質を吸引するのはiQOSと同様です。

日本たばこ産業のPloom TECH(プルームテック)はアルコール系の有機溶剤
を低温(約40℃)で加熱して霧化させた後にタバコの葉の粉末を充填した
カプセルを通過させて吸引するので、基本構造は電子タバコです。
ニコチンの量が少ないため満足感が得られにくいようです。
吸引する有害物質は前2者よりもさらに少ないですが、薄いニコチンを
吸引するので、逆に、有機溶剤を深く吸引することの健康被害が懸念されます。

参照:厚生労働省「加熱式たばこにおける科学的知見」

販売からの期間が短いためその健康影響はほとんど分かっていませんが、
2016年、iQOSを1日40本使用していた男性が呼吸困難となり、レントゲン
で両肺野が

真っ白、気管支肺胞洗浄により急性好酸球性肺炎と診断された
症例が報告されました。
また、2017年、ラットを用いた実験ですが血管内皮の障害が発生する
ことも報告されています。
今後、その有害性は徐々に明らかになることでしょう。

図は紙巻きタバコの喫煙本数を横軸に、縦軸に心疾患のリスクを
グラフ化したものです。
1日の喫煙本数が5本と少なくても20本喫煙する人のリスクと大差が
ないことが分かります。
受動喫煙でさえ心筋梗塞のリスクは1.3倍になるぐらいですから、
喫煙による健康障害は少ない曝露から現れることが分かります。

本来、これらの製品は人体に無害であることが証明されない限り
販売は禁止すべきですが、それが判明するまでの間は、メーカーの
リーフレットに薄い文字で小さく書かれている警告
「有害性成分の量を約90%カット」の表現は、
「本製品の健康に及ぼす悪影響が他製品と比べて小さいことを意味するものではありません」
「リスクがないというわけではありません」
「タバコ関連の健康リスクを軽減させる一番の方法は紙巻タバコも本製品も両方やめることです」
を示しながら、ニコチン依存症からの脱出の手段として禁煙外来へ行くことを勧めて下さい。

それらの製品を使っている人達は「少しでも健康障害を免れたい」
という気持ちを持っている禁煙予備群ですから!

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