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2019.2.10
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vol5.第2回(全3回)健康経営に取り組む意義 ~健康経営で一番大切な、経営者のやる気~

vol5.第2回(全3回)健康経営に取り組む意義 ~健康経営で一番大切な、経営者のやる気~

従業員の健康が、企業の将来にとって大変重要であることを認識した経営者には、健康経営を推進していただきたいと思います。とはいっても、従業員が健康になるためには、従業員自身が健康的な行動を取る必要があるため、とても難しく感じてしまう方も少なくありません。人の健康は、周囲の環境に大きく左右されるため、企業できることはそのような環境づくりです。それなら、経営者の権限できるのではないでしょうか。

健康経営では、まず従業員の健康の重要性を認識して、健康づくりに積極的に取組むことを明示した健康方針や宣言を出していただくことから始まります。そのような宣言を出したのですから、時に触れて健康の重要性を説いていただきたですし、経営者ご本人にも自らの健康管理を従業員の見える形で行っていただきたいと思います。また、取締役会のような経営会議でも、企業の重要な資源である人材の健全性について話し合ってください。

あとは、PDCAを廻しながら健康プログラムを提供していただければ結構です。とはいっても、無数の健康プログラムがありますので、何が自社の課題にあっているかを考えながら実施していかなければなりません。一般的に、健康管理プログラムは、ハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチに分かれます。ハイリスクアプローチとは、病気になる可能性が高い対象を絞って、そこに働きかける取組みであり、日本では法令で一般健康診断やストレスチェックなどが行われています。一方、ポピュレーションアプローチとは、健康度に関わらず集団前提に働きかけて、集団の健全性を高める取組みです。皆で運動をしたり、より働きやすい職場環境の改善を図るような取組みがあります。どのような職場でも、まずはハイリスクアプローチが確実にできているかは確認してください。

一般健康診断の結果、治療や精密検査が必要であると指摘されているにもかかわらず、放置されていても、誰も何も言わないような状況はありませんか。一般健康診断が従業員にとっても法的に義務となっている背景には、従業員自身が「働けるだけ十分健康である」ことを示すことを求めているのです。少なくとも全員が健康診断を受け、必要があれば治療や精密検査を受けている状態を確実にした上で、それぞれの会社や職場で課題と思われることに対する対策を実施すればいいのでしょう。大きな企業であれば課題を抽出するためにデータ分析が必要ですが、小さな企業の場合には経営者や担当者が感じている課題そのものへの対策で十分だと思います。若い人が朝ごはんを食べない、運動不足の人が多い、喫煙者が多いなどです。その対策として、職場できる何かを行ってください。たとえば、早朝出勤者にパンやフルーツを用意する、始業時や昼休みに皆で体操する、敷地内禁煙するなどです。最初の取組みがうまくいった会社は、次々にプログラムが展開されていますので、まずは始めることが大切です。

・産業医科大学 産業生態科学研究所 産業保健経営学研究室 教授
・日本産業衛生学会 副理事長
・日本労働衛生安全衛生コンサルタント会 副会長
・次世代ヘルスケア産業協議会 健康投資WG主査
・健康経営度調査基準検討委員会 座長
・健康経営優良法人認定委員会 座長

森 晃爾(もり こうじ)

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