

田村大氏
神奈川県生まれ。幼少期を福岡県・小倉で過ごす。
東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。
新卒で博報堂に入社後、デジタル社会の研究・事業開発等を経て、株式会社リ・パブリックを設立。欧米・東アジアのクリエイティブ人脈を背景に、国内外で産官学民を横断した社会変革・市場創造のプロジェクトを推進している。2014年、福岡に移住し、九州を中心とした活動に移行。2019年、UNAラボラトリーズを共同創業、筑後を中心に、ものづくりの新たな可能性を拓くべく、多様なステークホルダーを交えたエコシステム形成に取り組んでいる。現在、北陸先端科学技術大学院大学にて客員教授を兼任。
2018年、白水と一緒に佐賀県の伝統工芸品等プロモーション事業に提案し、採択されました。「ものの良さ」を伝えるのではなく、「ものがある暮らしの豊かさ」を問い直す。そのコンセプトを「New Normal」と名付けました。
プロジェクトは「たべる」「いろどる」「おもいやる」「あそぶ」「くつろぐ」「はたらく」という6つのテーマで研究チームを組み、県内外のクリエイターや研究者を集めてリサーチとワークショップを重ねました。産地の職人と、よそからやってきた書き手やデザイナーが同じテーブルに座り、言葉を交わす。翌年1月の「New Normal展」では、その問いかけを受けて自分の生き方を変えたと語る若者が何人も現れました。
単年度で終わらせるのは惜しいと感じ、うなぎの寝床と僕が経営するThink & Do Tank「リ・パブリック」の合弁事業として「UNAラボラトリーズ」を設立しました。僕が代表に就き、妻が実質的な経営を担うかたちで、工芸とものづくりが息づく土地の価値を情報と体験を通じて届ける事業を始めました。
その柱のひとつが、八女福島の白壁の町並みに開いた宿「Craft Inn 手(te)」です。藍染め職人とともに作った「藍の部屋」、竹工芸の職人が手がけた「竹の部屋」——部屋そのものが、産地の素材と技術の展示空間になっています。コロナ禍を経て、インバウンドの旅行者を中心に評判が広がっています。
宿では、筑後の染織り職人のもとを訪ね、手ほどきを受けながらものづくりを体験するプログラムも提供しています。手を動かすことで、素材の感触や職人の判断の精度、工程の積み重ねがはじめてリアルになります。旅行者の表情が変わる瞬間が、そこにあります。
筑後は、久留米絣をはじめ筑後織、八女簾、花ござなど、多様な伝統織物を今も生きた産業として抱えています。宝島染工のような高い創造性を持つ染色工房もあります。日本のテキスタイルの故郷と呼んでも、言い過ぎにはならない土地です。その豊かさを見えるかたちにすること——それが、僕たちの仕事になりました。

一般社団法人10分ランチフィットネス協会
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