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vol.2 第2回(全3回)
健康づくりとエビデンス
( 第2回:「歩く」は,カラダだけでなくお財布にも やさしい)

皆さんは,1日にどれくらい歩いていますか。

今回は,健康づくりと言えば,すぐに思い浮かべる運動「歩く(ウォーキング)」
をテーマに,東北大学の辻一郎教授の調査研究をご紹介します。

この調査・研究は,宮城県のとある保健所が管轄する地域の40歳から79歳までの国民健康保険加入者全員を対象に,1日に歩いている時間に関する回答と
1か月あたりの医療費の関連を,9年間にわたっ調査・研究したものです。

(※病気や障がいを理由に「30分以下」と回答した人などは,調査対象から除く。)

結果は,表のとおりです。

1日の歩行時間と1か月あたりの医療費

  1日の歩行時間
1時間以上 30分~1時間 30分以下
1か月あたりの医療費 男性 25,230円 29,026円 30,177円
女性 18,889円 20,476円 21,693円
この結果を年間の医療費に換算すると,1日あたり「1時間以上」歩く人は「30分以下」しか
歩かない人に比べ,男性では約6万円/年,女性では約3万4千円/年の差となります。

どうやら「歩く」は,“カラダ”だけでなく“お財布”にもやさしいようです。

とは言いながらも“歩く(ウォーキング)”を日課にすることが難しい方は,例えば,通勤・通学時にバス停1つ分歩いてみるとか,上下3階までの移動は階段を使う
など,日ごろの行動をちょっと変えてみませんか?
健康づくりだけでなく,自由に使えるお金も増える,一石二鳥の自己投資と考えてみるのもいいかもしれません。

福岡市は,「歩きたくなるまちづくり」として,市内の各地域ごとのウォーキングマップをつくっています。
興味のある方は,ぜひ一度サイトを見てみてください。
「自然に」「楽しみながら」歩けるコースが,皆さんの身近なところに見つかるかもしれません。
 

福岡市ウォーキングマップはこちら

なお,JAGES(日本老年学的評価研究)プロジェクトによる高齢者を対象とする調査では,「『憩いのサロン』」参加で認知症リスク3割減」「運動を家族や友人と『一緒に』行っている人は,不健康と感じている人が少ない」といった研究報告が最近発表されています。

歩く先にある「人との出会いやかかわり合い」が,90年という長い人生で見たときに,健康に良い効果をもたらしているようです。

福岡市保健福祉局 政策推進部長 中村 卓也氏